過去を夢見て

「男の娘」というジャンルが確立・定型化してから、早数年。この単語も、今では、手垢に塗れた代物に成り下がってしまった。少女から鞘を取り除き、竿を追加した、男の娘とは似て非なるキャラクターの氾濫や、秋葉原風俗シティに存在する「男の娘カフェ」という肩書のゲイバーもどき等、「男の娘」という単語が朽ちている事を示す事例は、枚挙にいとまがない。

私は一時期、「男の娘」というジャンルに傾倒していた。「女装男子」と「ふたなり」の中間という半端な概念を具現化したその単語に、私が興奮していただけかもしれない。しかし、男の娘という単語に見た、これまでの単語には無い甘美な響きは、興奮だけで説明は付かない。私は未だに、あの時見た輝きを忘れる事ができない。

今日も私は成人雑誌・同人イラスト集を買い求める。あの時の輝きを再び見るために。