「写真に撮られると、魂を吸い取られる」
写真がまだ珍しかった頃、このような話が、真しやかに囁かれていたらしい。今から見れば荒唐無稽としか思えない話も、写真に初めて接した者達にとっては、現実味を帯びていたのだろう。
写真が公知の物となって久しい。写真という概念が持っていた神秘性も、今となっては陳腐なものになってしまった。「あんなもの、ただの色の集まりだ」この言説に厳しく反論する者は、もはや居ないだろう。
しかし、写真は本当にただの色の集まりなのだろうか。本当に、色以外の情報が抜け落ちたただの一枚板なのだろうか。
もしそうならば、なぜ、人は写真に救いを求めるのだろうか。